各年度運動方針
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 平成27年度 運動方針

 
今年は、昭和40年(1965年)8月に政府の同和対策審議会から「同和地区に関する社会的及び経済的諸問題を解決するための基本的方策」についての答申が、内閣総理大臣に提出されて50年になる。
この答申の前文では、「早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である」とし、「政府においては、本答申の報告を尊重し、有効適切な施策を実施して、問題を抜本的に解決し、恥ずべき社会悪を払拭して、あるべからざる差別の長き歴史の終止符が一日もすみやかに実現されるよう万全の処置をとられることを要望し期待するものであ
る」としている。
そして、結語の同和行政の方向で、@特別措置法の制定A施策の策定や実施などを協議する組織の設置B地方公共団体へ同和対策事業の義務付けと財政的助成措置C政府資金による事業団形式の組織の設立D地区内企業の育成のための融資E総合計画を策定し、環境改善、産業、職業、教育などの具体的年次計画の樹立以上の6項目が示されたことから、昭和44年(1969年)7月に「同和対策特別措置法」が10年間の時限立法として制定された。


この「同和対策特別措置法」は3年間の延長を経て、昭和57年には「地域改善対策特別措置法」、昭和62年には「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」に名称を変え、5回の延長で33年間続けられた。

「同対審答申」から50年、「同和対策特別措置法」制定から46年の歳月が流れる中、同和地区の環境は大きく変貌し、国民の人権意識の高揚から、同和関係者に対する差別意識も大きく改善されてきているが、未だに、結婚や移住に忌避意識が存在し、完全解決には至っていない。
平成8年(1996年)の「地対協」意見具申では、「部落差別が現存するかぎりこの行政は積極的に推進されなければならない」とし、更に「特別対策の終了、すなわち一般対策への移行が、同和問題の早期解決を目指す取組の放棄を意味するものでないことは言うまでもない。一般対策移行後は、従来にも増して、行政が基本的人権の尊重という目標をしっかりと見据え、一部に立ち遅れのあることも視野に入れながら、地域の状況や事業の必要性の的確な把握に努め、真摯に施策を実施していく主体的な姿勢が求められる」としている。
このことを踏まえ、「同対審答申」から二分の一世紀、「同対法」施行から二分の一世紀を目前に控えた今日、何が解決し、何が未解決なのかの整理を行い、未解決な問題を解決するためにはどのような施策が必要なのかを検討していく。
「障害者差別解消法」が平成28年4月から施行されることで、同法第6条に規定する「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」を本年2月に策定公表した。
更に本年9月までに、「国等職員対応要領」と「事業者のための対応指針」が作成されることになっている。
よって、これらに即して各省庁は各種施策を策定することになるので注視していく。
地方公共団体についても、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策の策定と実施を求めていることから、国に準じた「基本方針」「職員対応要領」「事業者のための対応指針」の策定を求めていくと同時に、障害を理由とする差別に関する相談や紛争の防止及び解決を図ることと、差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うために「障害者差別解消支援地域協議会」の設置を求めていることから、この「協議会」が早期に設置されるよう市町村に求めていく。
障がい者の雇用については、平成25年4月からは法定雇用率が、民間企業は1.8%から2.0%に、国及び地方公共団体は2.1%から2.3%に、都道府県等の教育委員会は2.0%から2.2%に引き上げられたことで、民間企業では43万1,225.5人の対前年5.4%(22,278.0人)の増になっているが、法定雇用率の達成企業の割合は、44.7%で対前年比で2.0ポイント上昇しているが、未だに過半数に達していないことから企業に雇用の促進を強力に求めていく。
また、厚生労働省は「障害者の雇用の促進に関する法律」に基づき、「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」と「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」を本年3月に決定した。
この指針では、募集採用時や採用後での差別禁止や合理的配慮を定めているので、この指針が守られているかの点検も併せて行っていく。
なお、現在は精神障がい者の雇用は義務化されていないが、平成30年4月からは義務化されるので、更なる法定雇用率の引き上げが予想される。
ノーマライゼーション(共生社会)の観点からのインクルーシブ教育(特定の個人・集団を排除せず学習活動への参加を平等に保障する)システム構築事業については、心のバリアフリーの推進として交流及び共同学習(25箇所)が新規事業で加えられたが、早期からの教育相談・支援体制の構築(40→40箇所・早期支援コーディーネーター役120→120人の配置)、インクルーシブ教育システム構築モデル事業(65→35地域・合理的配慮協力員役130→70人の配置)、特別支援学校機能強化モデル事業(36→25箇所)、医療的ケアのための看護師の配置(約330→330人)になっていて、今年度は昨年度に比べ縮小予算になっていることから予算の拡充を文部科学省に求めていく。
虐待については、「障害者虐待防止法」では虐待行為者の範囲を、養護者と障がい者福祉施設の従事者及び障がい者を雇用する事業主としており、特別支援校や特別支援学級で体罰が表面化している中、虐待の温床になっている病院や学校を加えるよう政府に働きかけるとともに、都道府県では「障害者権利擁護センター」を、市町村では「障害者虐待防止センター」の設置が定められているので、都道府県と市町村に通報状況や対応上の問題などを確認する活動を行う。
学校での「いじめ」については、「いじめ防止対策推進法」が制定されたが、未だに「いじめ」による悲惨な自殺が続いていることから、各学校に設置されている「いじめの防止等の対策のための組織」の点検と、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの拡充とともに、コミュニティ・スクールの拡大を文部科学省に求めていく。
また、地域住民が学校の運営等に積極的に参加する学校地域協議会とも連携し、活用していく。
一方、女性の人権については、平成13年10月から施行された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(DV法)によって、平成14年4月からは「配偶者暴力相談支援センター」が各都道府県に設置され、業務を開始しており、平成19年7月の改正により、市町村にも配偶者暴力相談支援センターの設置が努力義務となったが、ほとんどの市町村は設置していないことから、その設置を市町村に求めていく。(平成26年3月現在、全国238施設で、その内市町村が設置する施設は65施設、目標は100施設)
なお、この支援センターへの相談件数は年々増加しており、平成24年度は8万9,490件で、平成25年に警察が対応したものでも4万9,533件(平成26年は59,072件で、摘発は6,992件)になっている。
また、これまで身体に対する暴力を受けたものに限り、保護命令を申し立てることができたのに対して、平成20年1月からは生命・身体に対する脅迫を受けた者についても、身体に対する暴力によりその生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合には、保護命令を発することができることとなったほか、被害者への接近禁止命令の実効性を確保するため、接近禁止命令の発令されている間について、被害者の親族等への接近禁止命令も発することとされ、さらに、被害者への面会の要求や無言・夜間の電話等を禁止する電話等禁止命令も新設されたことで、平成25年では2,991件の申し立てがされ、2,312件について保護命令が発令された。
よって、少しでも危害を受ける可能性がある場合は、積極的に保護命令を活用して被害を防いでいく。
なお、「ストーカー規制法」による認知件数も平成26年では22,823件で、2,473件が摘発され、その内2,242件で逮捕されている。
この「ストーカー規制法」は平成25年6月に改正され、電子メールを対象に加えることや禁止命令等を出すことができる公安委員会の処置が拡大がされ、国及び地方公共は民間の自主的な組織活動の支援のための体制整備に努めることも明記されたが、相談窓口すら設置していない市町村が多数存在することから、その体制整備を都道府県・市区町村に求めていく。
今後もDVやストーカー被害者の増加が予想されるが、緊急な避難場所としてのシェルター(一時避難所)が不足しているので早急に設置するよう市町村に求めていく。



 
住環境整備については、近隣地域との差異がないかを点検しつつも、高齢者・障がい者・妊娠している女性・子どもなど、ハンディキャップがある人たちが自由に社会に参加できる活力ある地域にするため、バリアフリーは当然のこととして、ユニバーサルデザインの用具をも活用する「人権のまちづくり」を視野に入れた取り組みを展開し、ノーマライゼーションを達成する。

バリアフリーの基準としては、介助がない車イスでどこへでも自由に、安心・安全・快適に移動できるものとする。

バリアフリーについては、「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の促進に関する法律」(通称、ハートビル法)と「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(通称、交通バリアフリー法)を統合した新法「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(通称、バリアフリー新法)が、施行されているので、この「バリアフリー新法」を積極的に活用してバリアフリーの建築物を増やしていく。

老朽化した改良住宅・公営住宅の建替えを行う際については、定期借地権などを考慮しつつも、払い下げを積極的に求めて、これを機会に「人権のまちづくり」を具現化する総合計画の策定を市町村に求めていく。

改良住宅・公営住宅の空き家がある場合には、混住化を促進するためにも、一般公募制度を活用し、また、若年層の流入を促すために、就学前の子どもを持つ世帯とか新婚家庭や妊婦については優先入居や割引の導入などの工夫を凝らして空き家をなくしていくとともに、高齢者の孤立死を防止する手立てを講じるよう、市町村に要求していく。
なお、公営・改良住宅の入居者の選定や管理を、未だに地区の自治会や同和運動団体の役員に任せていることは、不正行為や混住化を妨げる温床になることから、公営・改良住宅の管理・運営を市町村が行うよう、市町村に強く要請していく。
批判の対象になっている改良住宅・公営住宅の家賃については、応能応益制度を取り入れ、暫時、見直しを進めていくことになっているが、応能応益制度を取り入れていない市町村には、早急に制度を取り入れ、家賃の見直しをするよう要求していくとともに、家賃の滞納を市町村と協議しながら早急に改善していく。

地域の拠点である隣保館については、運営費の削減や廃止をしたいとの声が聞かれるようになってきた。

これは、隣保館が部落解放同盟の事務所に使われ、公の施設になっておらず、稼働率が低いことにも起因する。周辺地域との交流事業を活発に行っている館や広く市民が利用している館などにはそのような声は聞こえてこない。
同和地区住民だけの館とか、同和運動団体が勝ち取った施設という考えは、同和地区を特化するだけで、差別の固定化に繋がり、部落解放同盟に甘えを許すだけで、市民の理解を得ることは困難であろう。

公の施設であれば広く市民が利用できる施設にすることは当然であり、広く市民が利用することで交流が生れ、また、同和対策で住環境が改善された同和地区を眼にすることで、古い同和地区のイメージを払拭させ、差別観を変えることにもなるので、広く市民が利用できるよう、厚労省の改修費補助を積極的に活用してバリアフリー化をもすすめていく。
なお、隣保館が廃止される場合には、指定管理者制度や民間委託などを活用できないかを検討しつつも、廃止された場合には支部の役員が同和地区と行政とのパイプ役を担う、地区の世話役を積極的に務めることにする。

 
同和関係事業者は零細で、かつ、建築・土木関係業者が極めて多いという特定の業種に偏った特有性をもっているので、公共事業が年々減少していくこのような状況で基盤を確立することは非常に困難ではあるが、合理化や近代化を促進するとともに、生き残りのため共同化や協業化を進めていく。

業種転換する場合には、政府が中小・零細業者向けセーフティーネットとして実施している各種融資制度の有効活用や各省庁のホームページで最新の情報等を有効利用するとともに、都府県や市町村と協議しながら、きめ細かな指導をしていく。
未就労者に関しては、ハローワークを最大限活用するとともに、規制の緩和により都道府県も就労の斡旋ができるようになったことと、現在、様々な雇用対策が実施されているので都道府県と連携を図り、未就労をなくしていく。

本年4月から「生活困窮者自立支援制度が始まっているので、この制度を積極的に活用していく。

また、専門性を取得するために職業訓練や研修・講座などを有効活用し、就労を確保していく。特に、世界でも類のない高齢化社会に進んでいることで、介護福祉士やホームヘルパーが不足しているため、求人の需要が非常に高くなっていることから資格の取得を奨励していく。

農林漁業者については、TTP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加すれば、安い農産品が輸入されることになるので、付加価値の高いものに移行するとともに、ブランド化を目指し、インターネットを活用して消費者との直販や販売店との直取引など販路の拡大を図っていく。このことは、畜産、園芸でも同様であり、漁業については、養殖なども検討していく。
なお、本格的に導入された「指定管理者制度」では、すべての公共施設を指定管理者に管理をさせることになっているので、隣保館なども対象になることから、各都府県本部で設置しているNPO法人の実情に合った公共施設の指定管理者になり、雇用の促進ができるよう、都道府県・市町村と協議していく。

いずれにしても、最新の情報を得るため中央本部は各省庁と、都府県本部は都府県と緊密な連携を図り、会員に最新の情報の伝達や相談を行うため、都府県本部内に相談業務を確立していく。

また、就職差別をなくし、安定した雇用を確保するため、厚生労働省が100名以上の従業者を有する企業に設置を求めている「公正採用選考人権啓発推進員」との連携を深めていくと同時に、障がい者の雇用をも促進するため、法定雇用率(常用労働者が50人以上の民間企業は2.0%)を下回る企業については、特に積極的に雇用するよう求めていくが、抜本的に就職差別をなくすため、ILO第111号条約の「雇用及び職業における差別に関する条約」を批准し、国内法を整備するよう厚生労働省に求めていく。

 
教育・啓発については、既に「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が制定されており、基本計画も策定実施されているので、この法律を有効活用し、すべての都道府県、すべての市町村に、この基本計画の策定と実施を強く求めていくと同時に、現状に即した内容になっていない場合には見直しを強く求めていく。

また、基本計画には企業の役割も明記されていることから、厚生労働省が100名以上の従業員を有する企業に設置を求めている「公正採用選考人権啓発推進員」との連携を深め、企業内の人権研修の充実に努めていくとともに、未設置の企業には、推進員の設置を求めていく。

高等学校の無償化で授業料は払わなくても済むようになったが(平成26年度からは所得制限)、入学金や教材費、或いは、交通費までもが無料になるわけではない。特に私立については、世帯の年収350万未満は1.5倍、250万円未満は2倍が支払われるが、高額な入学金や授業料・教材費が必要な学校も存在することから、都道府県が実施する高等学校等奨学資金制度の一層の拡充を求めていくと同時に、これを機会に各種学校についても、対象に加えるよう要請していく。

大学・短期大学の奨学金は、独立行政法人日本学生支援機構や都道府県などでも貸出を行っており、いずれも所得制限があるものの、現在では5割を超える学生が利用しているといわれている(日本学生支援機構だけでも4割を超えている)。

日本学生支援機構の奨学金は、学力要件のある第1種(無利息)と学力要件の緩い第2種(利息付)とがあり、第2種の場合は毎月貸与する金額が、3万円・5万円・8万円・10万円・12万円と選択できるようになった。(平成27年度累計で有利子87万7千人無利子46万人となり無利子への拡大の方向)また、入学時特別増額貸与奨学金も、10万円・20万円・30万円・40万円・50万円と、入学の時に必要な資金も借りることができる。

国の教育ローン(日本政策金融公庫)は、利息は高いが350万円まで借りることができる。
これら奨学資金制度を活用し、大学・短期大学の進学率の向上を図っていくと同時に、所得の格差で教育の格差が生じないよう、大阪市が実施している塾代補助である「教育バウチャー制度」を文部科学省に求めていく。

なお、低所得で奨学金の返済ができず滞納者が増加していることから、「所得連動変換型制度」や「返還免除規定」の導入を求めていく。

また、「障がい者基本法」が改正され、インクルーシブ教育が明記され、また、平成28年4月には「障害者差別解消法」が施行されることで、すべての学校でバリアフリー化が進み、車イスでも通学できるようになると思われるが、文部科学省により一層の促進を求めていくと同時に、児童・生徒の人権を侵害する教師の体罰や差別言動が少なからず発生していることから、教職員に対する人権研修の徹底をも求めていく。
平成20年3月に「人権教育の指導方法の在り方について」(第3次とりまとめ)が、平成21年10月には「人権教育の推進に関する取組状況の調査結果について」が文部科学省でまとめられ、各学校に配布されていることから、その実施を求めていくが、その際には、カリキュラムには最大限の関心を持ち、人権教育が計画的に実施されるよう働きかける。

また、導入することに賛否が分かれ、現在では少し後退している学校選択制度については、同和関係者が多数在籍する学校を敬遠するなど、解決しつつある同和問題を逆行させる可能性と、これまでの学校と地域の一体性が瓦解し、児童生徒が減少する地域は崩壊する可能性もあることから、導入には断固として反対していく。

なお、近年各地で始められた小・中一貫教育については、「学校教育法改正案が今国会で成立すれば平成27年4月から制度化され、その学校の名称は「義務教育学校」になることから、同和関係者が多数在籍する学校を、「義務教育学校」にし、交流を深めて同和問題の解決に繋げていく。

いじめに関しては、滋賀県大津市をはじめとして、全国各地でいじめによる自殺する児童・生徒が続いたことで、このような悲惨な出来事をなくすために、「いじめ防止対策推進法」が平成25年6月に成立し、10月には「いじめ防止基本方針」が策定されているので、地方公共団体と各学校に「いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」を定めるよう要請するとともに、併せて、地方公共団体には「いじめ問題対策連絡協議会」の設置を、各学校には「いじめの防止等の対策のための組織」を設置するよう要請していく。

また、いじめ防止のため道徳が重視され、道徳が正式な教科になることから、差別を「しない、させない、見逃さない」ことは最高の道徳だと思われるので、道徳も最大限に活用するよう求めていく。

 
国家行政組織法の第3条委員会としての「人権委員会」が創設されるまでは、平成15年の3月に20年ぶりに改正された「人権侵犯事件調査処理規程」での対応になるが、差別での泣き寝入りは絶対にさせないとの強い気持ちで、「人権侵犯事件調査処理規程」を有効に活用して救済を図っていく。

多発する学校でのいじめ問題を始めとする様々な人権問題に対処するため、平成25年度からは全国の法務局に3年計画で、企画担当委員として人権擁護委員が常勤する人権擁護体制の強化が図られているので、積極的に人権救済を行っていく。


また、「人権擁護法案」と「人権委員会設置法案」のいずれもが、言論や表現の自由を規制するものだとの批判が巻き起こり、結果的に成立に漕ぎ着けないでいるので、国民の支持が得られるようにするため、人権侵害の定義を誰もが分かり易いものに見直す作業を開始する。

ヘイトスピーチ対策については、各政党が検討しているが、言論を規制することに憲法が保障する言論・表現の自由に抵触するとの意見もありまとまっていない。
法務省は、ポスターの作成や新聞広告など啓発に重点を置いた取組を始めているが、大阪市ではヘイトスピーチ対策として条例づくりを進めており、先般、「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例案大綱案」を公表した。

この大綱案では、ヘイトスピーチの定義を定め、5人の委員による審査会を設置し、その審査会が定義するヘイトスピーチに該当するかを判断する。該当すれば氏名又は名称の公表や訴訟支援ができる内容になっているので、推移を見守り、今後の参考にする。

 
 

東京の渋谷区が全国で初めて同性のカップルを「結婚に相当する関係」と認め、証明書を発行する条例を区議会に提出したことで、性的マイノリティーとしてのLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)に関心が集まりつつあり、アメリカ合衆国においても近々に同性の結婚を最高裁判所が認めるのではと話題になっている。

平成25年には、嫡出子でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする民法の規定は憲法違反とする最高裁判決が出され民法が改正されたが、本年は夫婦別姓と女性の再婚禁止期間を定める民法は憲法違反とする訴えについて、最高裁判所が審議する場所を小法廷から大法廷へ移したことで、憲法違反とする判決がだされる可能性が高くなっている。
今求められている夫婦別姓は強制ではなく選択制で、必要なカップルだけが別姓にするものである。女性の6ヶ月間の再婚禁止期間にしても、科学の発展からDNA検査をすれば直ちに親子の判定ができるようになっている。

このような社会の変化・変遷について、過度な個人主義に傾くことなく、私どもも寛容さを持ち価値観を変えて行く必要があるのではないだろうか。人権の保障とは選択の幅を広げることであり、多様性を認めることである。

偏見による差別心を払拭するには、正しい知識を得るしかないが、まずは自分自身に偏見がないかを検証しつつ、自分が住む地域から率先垂範して「人権侵害をしないまちづくり」に取り組み、この「人権侵害をしないまちづくり」を国民とともに広めていく中で、一人々の人権が守られる人権確立社会の構築を目指していく。

 
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